CHASSESPLEENの日記

2018年2月4日に別府大分毎日マラソンを、山中先生から数秒遅れで完走し、燃え尽き、今後の方向性が定まらぬまま、憂いを払うべく綴る連絡帳。

アとユの違い

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サッカーとラグビーの違いとは?お互いに、参考になることは多いと思うのだが…… : コラム | J SPORTS

ラグビーのワールドカップは、いよいよ決勝トーナメントが始まった。プールの戦いで日本が健闘しはしたものの、準々決勝進出ならず、見事に伝統国ばかりが勝ち残った。
決勝トーナメントに入ってからは、試合間隔が1週間与えられるとことがサッカーのワールドカップとの違いである。準々決勝4試合が終わると、今週末に準決勝、そして来週の10月31日に決勝というスケジュールになっているのだ。もちろん、試合間隔が十分にあればリカバリーもできるし、戦術的な準備もできるわけで、競技レベルが高くなる。理想的なスケジュールと言うことができる。
このスケジューリングなどもその一つだが、試合のやり方にしても、大会の運営にしても、サッカーとの違いが面白い。
たとえば、「ビデオ判定」。ラグビーでは早くからビデオ判定を取り入れており、今大会でも再三この制度が使われた。ボールがきちんとグラウンディングされているか否か。タッチラインを割っていないかどうかなど、多くの場面でビデオ判定が使われた。
ビデオ判定は、今では野球でもテニスでも普通に行われている。だが、サッカーの運営団体(FIFAUEFA)はビデオ判定導入にはなぜか頑なな拒否の姿勢を保っている。兄弟スポーツであるラグビーにおけるビデオ判定は、サッカーにとっても大いに参考になるのではないだろうか。
ラグビーの場合ボールが重なり合った選手たちの体に隠れてしまうので、こうでもしないと確認のしようがないのだろうし、元々中断の多い競技なので、ビデオ判定でプレーが途切れることに違和感がないのだろう。しかし、サッカーの場合、たとえばボールが本当にゴールラインを越えていたかどうか、あるいはボールが手に当たっていたかどうかなどを見ることは一瞬でできるはず。ラグビーよりも、ビデオ判定導入は容易いと思うのだが……。
ラグビーの場合、監督(ヘッドコーチ)がスタンドの上に陣取っていることがサッカーから見ると目新しい。上から無線で指示を送っているのだ。
試合を見るにはスタンド上から俯瞰的に見る方が客観的に見ることができる。サッカーの監督はタッチライン際に立って(ビエルサのようにしゃがんでいる人もいるが……)指示を送ったり、第4審判を相手にブチブチ文句を言っていることが多いが、ラグビーのようにスタンド上から無線で指示を送る方がはるかに合理的なように思える。
かつて、サッカーが選手交代を認めるようになった後も、ラグビーでは選手交代を認めていなかったが、今ではラグビーでは当然のように選手交代が行われるし、負傷した選手が治療している間の一時的な交代(補充)も認められる。「一時的退場」(シンビン)という制度もある。「一時的退場」はサッカー界でも導入が検討されながら、なかなか踏み切れないでいる制度だが、まだ導入には至っていない。
ラグビーでやっていることをそのまま真似する必要はない。だが、サッカーとラグビーは元々が同じフットボールなのだ。お互いに参考にできることは多いのではないだろうか。
今ではルールもずいぶんと異なってしまったが、両者が別の協会を発足させた150年程前には、サッカーとラグビーのルールはそれほど違っていなかった。
1863年にロンドンでフットボールの統一ルールを作るための会議があり、アソシエーション(協会)が発足してケンブリッジ大学ルールを基礎にした新ルールが作られた。それが、サッカーの始まりだ。だが、その時にパブリックスクールの一つであるラグビー校式のフットボールをやっていたクラブが反対して参加せず、後にラグビーフットボール・ユニオンという別の協会を発足させた。これがラグビーの始まりだ。
2つのルールの違い。それは、ラグビー式ではボールを手で抱えたまま前に走ってもよかった。大きな違いはそれだけだった。だから、2つのクラブが試合をする時にどちらのルールを採用するか意見が合わなかったら、前半はアソシエーション式、後半はユニオン式で試合をすることさえ可能だったのだ。
両者が決定的に違ってしまったのは、その後のルール変更のためだ。たとえば、ラグビーでは「トライ」に得点を与えるようになったので、得点方法が違ってしまった。
最初のルールでは、サッカーでも、ラグビーでも、ボールがゴールラインを超えた時には最初にボールに追いついてグラウンディングしたチームのボールとなった。守備側が先にボールに追いついた場合はゴールキック。攻撃側のボールになった場合は、その位置からゴールラインに直角に引いた仮想のライン上からゴールを狙ってキックすることができた。
だが、サッカーではその後、ボールがゴールラインを割った場合最後にどちらの選手が触ったかによってゴールキックになるか、コーナーキックになるかを決めるようになる。一方、ラグビーの方では攻撃側がグラウンディングしたらゴールを狙うというルールが生き続け、さらにグラウンディング自体にも得点を与えるようになった。これが「トライ」である。
そして、時代とともにトライが重視されるようになった。僕が子供の頃にラグビーをやっていた当時、トライには3点が与えられ、コンバージョンは2点だったが、今ではトライが5点、コンバージョンが2点になっている。ラグビーではゴールよりも、トライが重視されるようになったのだ。
サッカーの方で、革新的なルール改正が行われた。それがオフサイド・ルールだ。
最初のサッカー・ルールでは、今のラグビーと同じように、ボールより前にいる選手はすべてオフサイドだった。だから、前に向かってパスをすることはできず、ボールはドリブルをして前に進めるしかなかった。だが、アソシエーション発足後すぐに、オフサイド・ルールが改正され、守備側の選手が3人(今では2人)いれば、オフサイドではないことになったので、サッカーはパスを駆使するゲームになったのだ。
こうして、サッカーとラグビーが分化して10年も経過すると、ルールが違い過ぎて「前半はアソシエーション式、後半はラグビー式」という試合は不可能になってしまったのだ。サッカーとラグビーの違いとは?お互いに、参考になることは多いと思うのだが…… : コラム | J SPORTS